古今東西の女戦士たちを描き直し、女性不在の戦史に終止符を。
フェミニスト歴史家が、古代から現代までの正史を
痛烈に皮肉り、鋭く、ユーモアに満ちた筆で〈消費〉も〈偏見〉も〈語りにくさ〉も蹴とばす。
考古学の成果も交えながら、歴史的連続性のなかで語り直す戦争の女性史。
――「ダブルスタンダードとは、生きている人間だけではなく、遠い昔に死んだ人間にも適用されるようだ」
(コラム「考古学界のダブルスタンダード」より)
最新の考古学の知見も交えながら、女戦士を通じた社会の姿も問いかけていく。
私たちはいとも簡単に、恐ろしいことに無感覚になってしまう。個々の勇敢な行動に光を当てるだけで、それによって引き起こされる死や恐怖を考慮せず、その戦争を取り巻くより大きな問題について深く考えない状態に容易に陥ってしまうのだ。(略)
私はここで、そしてこれから何度でも「戦争とは醜いものだ」と言い続けていきたい。
戦争とは醜いものだ。誰が戦っていようが関係なく。
(イントロダクション「女になんて戦えっこない」より)
エンタメの世界で躍る女戦士たちと、現実の女兵士を見たときのギャップ。その居心地の悪さを感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
本書は、戦史を研究してきた著者が、これまでの女戦士の表象や「語り」を丁寧に打ち砕きながら、存在を消されてきた女戦士たちを呼び戻し、読み直していきます。歴史的連続性の中で女戦士をとらえ直すと、私たちが知る文化や生活、宗教、国、そして戦争の姿は、少し変わって見えるかもしれません。
脚注のすみずみまで行きわたる著者の鋭い視点とユーモアをお楽しみください。